これは日本語のブログですから、読者の みなさんは「工夫」と かけば「くふう」と よまれることでしょう。
けど、ペキン語が よめるひとは「工夫」を「コンフ(gong fu)」と よむことも できますよね。
朝鮮語では「工夫」を「コンブ」と よみます。
「工夫」の意味をきめるのは漢字そのものではありません。「工夫」の意味は、漢字で「工夫」と表記される単語をもつ、それぞれの言語によって きまっているものです。
朝鮮語なら、「工夫」と漢字表記された単語は朝鮮語の「コンブ」を あらわし、日本語で いえば「べんきょう」という意味です。
ペキン語なら、「工夫」と漢字表記された単語はペキン語の「コンフ」を あらわし、日本語で いえば「ひま」という意味です。
また、ペキン語を はなすひとにとって、「勉強」と漢字表記された単語は ペキン語の「ミエンチャン(mian qiang)」を あらわすもので、日本語で いえば「無理強いする」という意味です。
日本語で「ほん(本)」という単語は、ペキン語では「シュー(書)」であり、朝鮮語では「チェク(冊)」と いいます。
言語音を ともなわない文字は ありません。文字は言語を表記するためのものです。言語が さきにあり、それを 表記するのが文字なのです。
「かつぜつ」という単語は、テレビを通じて一般に ひろまりました。だから、漢字表記は安定していません。最近の辞書では「かつぜつ」を登録しているものも ありますが、まだ収録していない辞書も のこっています。
「かつぜつ」は漢字で表記されなくても、じゅうぶんに意味が わかることばです。なぜなら、はなしことばとして通用してきたからです。かきことばで問題が生じるのは、はなしことばでは絶対に つかわないような表現を、しょっちゅう つかってしまうということです。
「くふう」にしたって、「漢字で表記するから」「意味が わかりやすくなる」わけではありません。