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『増補新版 ことばのバリアフリー―情報保障とコミュニケーションの障害学』

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2015年に出版された『ことばのバリアフリー』ですが、2023年10月に増補新版が でました。初版部分をわずかに修正し、以下の内容を追加しました。

増補 第7章 漢字のバリアフリーに むけて
1. はじめに
2. 漢字をよむということ――バリアとしての「テレビ型言語」
2.1. みえない人の場合
2.2. きこえない人の場合
2.3. 視認性が不十分な日本語表記――わかちがきをしないことの問題
3. 漢字をかくということ
3.1. 音声ワープロによる漢字変換
3.2. 学校や試験の場合
4. 漢字のバリアフリーとは、どうすることか
ただしがき


増補 第8章 ことばのバリアフリーと〈やさしい日本語〉
1. はじめに――全体像と位置づけ
2. 『認知症フレンドリー社会』――ATMの問題を例に
3. 大学という空間の内と外
4. 中国帰国者にとっての日本語と医療
5. おわりに――単一言語主義をこえて
ただしがき


増補 第9章 情報保障における音声・動画メディアの活用をめぐって
1. はじめに
2. 情報保障研究におけるテキスト・文書の位置づけと音声・動画メディアの現状
3. 書きことばがない言語、よみかきが苦手な人にとっての音声・動画メディア
3.1. 録音図書について
3.2. 手話動画について
3.3. わかりやすい情報について
4. 音声・動画メディアの活用に必要な環境整備とは
5. おわりに――これからの情報保障研究にもとめられること
ただしがき


増補新版あとがき


増補新版のための文献案内


参考文献


さくいん

参考文献も、関連文献をふくめて追加しました。


おなじく2023年10月に『ことばと社会』25号(特集「ことばをめぐる包摂と排除」)が でました。わたしは「ことばの かたちを ひとに あわせる図書館サービス」という長文をかいています。内容は以下のとおりです。

1. はじめに―図書館と言語問題
2. 図書館の種類と理念
3. 図書館の障害者サービスで議論され、実践されてきたこと
3.1 「図書館利用に障害のある人々へのサービス」
3.2 近年の法整備と国際条約批准
3.3 印刷物障害とバリアフリー資料
4. 図書館の多文化サービスで議論され、実践されてきたこと
4.1 多文化サービスの日本でのはじまりと理念
4.2 多文化サービスの内容
5. 情報格差の問題―図書館/ことばのバリアフリーの課題
5.1 蓄積がうみだす大言語の求心力と言語の不平等
5.2 情報処理の「能力」と情報機器の問題
5.3 漢字という障害
5.4 テキスト中心主義の問題―音声・動画メディアの必要性
5.5 わかりにくい用語の問題
6. おわりに

参考文献

『増補新版』の作業と『ことばと社会』の原稿をまとめる作業を同時にしていたこともあり、たがいに補足しあう内容になっています。


「増補新版のための文献案内」では2023年9月末ごろまでの文献をあげています。その後も、関連する文献が たくさん でています。その一部は『識字の社会言語学』もくじと関連情報のページの「あたらしい読書案内」で紹介しています。


今回、「増補新版あとがき」と「増補新版のための文献案内」で気候危機(地球温暖化の問題)について、すこしだけ ふれています。猛暑、豪雨や干ばつ、台風など、深刻化する気候災害が人間の安全保障をおびやかしている現実があります。その現実と対策にも言語問題、情報格差の問題があります。それは新型コロナウイルスが もたらした危機とも共通している点があります。ことばがハードルになって権利が まもられないような社会にしてはいけないという理念を共有していく必要があります。いいかえると、「ことばの かたちを ひとに あわせる」ことで、みんなの権利をまもる、生存を保障することが必要です。そのための議論をしていきましょう。