わたしが問題にしたいのは、「「日本人(ヤマト人/和人)」であること」ではない。問題は、属性にあるのではない。どのように行動するのかが とわれるべきだ。
日本社会において「民族的な多数派」に「属しているだけ」で批判されるべきではない。だが、この社会に民族差別を のこしているなら、その制度を なおさないといけない。差別制度によって、自分が結果的に得をしているなら、なにを しているわけでもなくても、差別制度に よいしょされた生活をしている。差別を 再生産していると いっても いい。その状況で、「わたしは なにを するのか」ということ。どのように ふるまうのか、ということ。
たとえば天皇制は、戸籍制度とセットになって日本社会で生活している ひとたちを しばっている。『非婚の親と婚外子』という本で問題にされているのは、婚外子への制度上の差別だ。
戸籍制度は、性別二元論と異性愛主義によって性的少数派を 無視しながら抑圧している。夫婦別姓すら みとめられていない。
こうした現実の制度にたいして、同調するのか、たたかうのか。
日本社会を、根本的に といなおすために。問題の全体像を みすえて。差別制度を ひっくりかえす。
そのための読書案内です。
- 田中宏(たなか・ひろし)『在日外国人 新版』岩波新書。
- 外国人人権法連絡会編『外国人・民族的マイノリティ人権白書2010』明石書店。
- 福岡安則(ふくおか・やすのり)『在日韓国・朝鮮人』中公新書。
- 小熊英二(おぐま・えいじ)『「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで』新曜社。
- ましこ・ひでのり『増補新版 イデオロギーとしての「日本」―「国語」「日本史」の知識社会学』三元社。
- ましこ・ひでのり『日本人という自画像』三元社。
- ましこ・ひでのり『幻想としての人種/民族/国民』三元社。
- 岡本雅享(おかもと・まさたか)『日本の民族差別―人種差別撤廃条約からみた課題』明石書店。
- 東村岳史(ひがしむら・たけし)『戦後期アイヌ民族−和人関係史序説―1940年代後半から1960年代後半まで』三元社。
- 石原俊(いしはら・しゅん)『近代日本と小笠原諸島―移動民の島々と帝国』平凡社。
- 明石純一(あかし・じゅんいち)『入国管理政策―「1990年体制」の成立と展開』ナカニシヤ出版。
- 「壁の涙」製作実行委員会『壁の涙―法務省外国人収容所の実態』現代企画室。
- 佐藤文明(さとう・ぶんめい)『在日「外国人」読本 三訂増補版』緑風出版。
- 梶田孝道(かじた・たかみち)ほか『顔の見えない定住化―日系ブラジル人と国家・市場・移民ネットワーク』名古屋大学出版会。
- 樋口直人(ひぐち・なおと)ほか『国境を越える―滞日ムスリム移民の社会学』青弓社。
- 中野秀一郎(なかの・ひでいちろう)/今津孝次郎(いまづ・こうじろう) 編『エスニシティの社会学―日本社会の民族的構成』世界思想社。
- ジョン・C. マーハ/本名信行(ほんな・のぶゆき)編『新しい日本観・世界観に向かって―日本における言語と文化の多様性』国際書院。
- 田尻英三(たじり・えいぞう)ほか『外国人の定住と日本語教育 増補版』ひつじ書房。
- 宮島喬(みやじま・たかし)/加納弘勝(かのう・ひろかつ)編『国際社会 2 変容する日本社会と文化』東京大学出版会。
- 国立民族博物館『多みんぞくニホン―在日外国人のくらし』国立民族博物館。
- ジョン・G. ラッセル『偏見と差別はどのようにつくられるか―黒人差別・反ユダヤ意識を中心に』明石書店。
- 植田晃次(うえだ・こうじ)/山下仁(やました・ひとし)『「共生」の内実―批判的社会言語学からの問いかけ』三元社。
- リリアン・テルミ ハタノ『マイノリティの名前はどのように扱われているのか―日本の公立学校におけるニューカマーの場合』ひつじ書房。
- ななころび やおき『ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」』ラティーナ。
- 遠藤正敬(えんどう・まさたか)『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍―満洲・朝鮮・台湾』明石書店。
- 丹野清人(たんの・きよと)『国籍の境界を考える―日本人、日系人、在日外国人を隔てる法と社会の壁』吉田書店。
- 陳天璽(ちぇん・てぃえんしー)『無国籍』新潮社。
- 陳天璽(ちぇん・てぃえんしー)編『忘れられた人々 日本の「無国籍」者』明石書店。
- 陳天璽(ちぇん・てぃえんしー)ほか編『越境とアイデンティフィケーション―国籍・パスポート・IDカード』新曜社。
- 李洙任(りー・すーいむ)/田中宏(たなか・ひろし)『グローバル時代の日本社会と国籍』明石書店。
- 岡野八代(おかの・やよ)『増補版 シティズンシップの政治学―国民・国家主義批判』白澤社。
- 月田みづえ(つきた・みずえ)『日本の無国籍児と子どもの福祉』明石書店。
- 山本敬三(やまもと・けいぞう)『国籍 増補版』三省堂。
- 榊原富士子(さかきばら・ふじこ)『戸籍制度と子どもたち』明石書店。
- ジョン・C. トーピー(藤川隆男(ふじかわ・たかお)訳)『パスポートの発明―監視・シティズンシップ・国家』法政大学出版局。
- テッサ・モーリス-スズキ『北朝鮮へのエクソダス―「帰還事業」の影をたどる』朝日新聞社。
- 梶村秀樹(かじわら・ひでき)『排外主義克服のための朝鮮史』青年アジア研究会。
- 朴三石(ぱく・さむそく)『外国人学校』中公新書。
- 月刊『イオ』編集部 編『日本の中の外国人学校』明石書店。
- 佐久間孝正(さくま・こうせい)『外国人の子どもの不就学』勁草書房。
- 宮島喬(みやじま・たかし)『外国人の子どもと日本の教育―不就学問題と多文化共生の課題』東京大学出版会。
- 井谷泰彦(いたに・やすひこ)『沖縄の方言札』ボーターインク。
- 近藤健一郎(こんどう・けんいちろう)編『方言札―ことばと身体』社会評論社。
- 野村浩也(のむら・こうや)『無意識の植民地主義―日本人の米軍基地と沖縄人』御茶の水書房。
- 宮田節子(みやた・せつこ)『朝鮮民衆と「皇民化」政策』未来社。
- 林影明(りむ・きんびん)『台湾の「皇民化」教育』高文研。
- 陳培豊(ちぇん・ぺいふぉん)『「同化」の同床異夢―日本植民地統治下台湾の国語教育史再考』三元社。
- 千本秀樹(ちもと・ひでき)『天皇制の侵略責任と戦後責任』青木書店。
- 鹿野政直(しかの・まさなお)『「鳥島」は入っているか―歴史意識の現在と歴史学』岩波書店。
- 金富子(きむ・ぷじゃ)/中野敏男(なかの・としお)『歴史と責任―「慰安婦」問題と一九九〇年代』青弓社。
『在日外国人 新版』『在日韓国・朝鮮人』は出発点として。
日本社会の問題を かんがえるに、『増補新版 イデオロギーとしての「日本」』を こえる本はない。問題の全体像を とらえるために必要な本。
移住労働者について かんがえるなら『顔の見えない定住化』は おさえておくべき本。
『外国人の定住と日本語教育 増補版』は文献案内として活用したい。
『ブエノス・ディアス、ニッポン』、『無国籍』、『忘れられた人々 日本の「無国籍」者』は国籍差別を かんがえるなら、ぜひ よんでほしい。無国籍ネットワークにも注目してください。
『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍―満洲・朝鮮・台湾』という本が もうすぐでるようだ。朝鮮人差別について。 - hituziのブログじゃがーを よんでおけば、理解しやすくなるだろう。『〈日本人〉の境界』のような労作に しあがっているかもしれない。
『北朝鮮へのエクソダス』を よんでみれば、日本政府が ずっと排外政策を とってきたことが よく わかる。
『外国人学校』中公新書は、日本政府が外国人学校を どのように位置づけてきたかについて、くわしく しることができる。この本を てもとに おいて参照しながら日本の差別政策に反対していきたい。
『日本の中の外国人学校』も、日本政府による朝鮮学校弾圧の歴史、外国人学校への差別制度についてくわしく解説されている。差別解消のために なにが必要かについても提言している。
『外国人の子どもの不就学』は、日本での「学校における排除」と「学校からの排除」を 批判している。
排外主義の問題だけでなく、同化主義の問題も解決していかなくてはいけない。『沖縄の方言札』、『方言札』、『無意識の植民地主義』、『朝鮮民衆と「皇民化」政策』、『台湾の「皇民化」教育』、『「同化」の同床異夢』を あげておく。
関連リンク: