hituziのブログじゃがー

あべ・やすし。最近は ツイッターばー かきょーる。

マイノリティについて

「ひとの数だけ可能性がある。」では、前半と後半で ちがうはなしをかいた。

前半では、人間のありかたを認識するさいに、ふたとおりのアプローチがあることを論じた。

  • ひとつには、「ふつう」な人間なるものを設定し、その「ふつう」という概念から はずれた「当たり前でないこと」を、どのように うけとめるかという問題設定
  • もうひとつは、「これも それも あたりまえである」というアプローチ

この、「これも それも あたりまえである」というのは なにも、ただたんに多様性を指摘するだけで満足するつもりで かいているのではない。「人間の価値観や行動様式、すがた かたちは、ものすごく多種多様」であることを きちんと把握するなら、社会があまりに排他的に設計されていることに気づかされる。そして、そこで「「配慮の平等」という視点」にたって、社会を変革する必要性を認識し、具体的に社会をかえていこうと主張しているのだ。

はてなブックマーク - ひとの数だけ可能性がある。 - hituziのブログじゃがーに気になるコメントをいただいたので、補足しておきます。


id:NOV1975 [人間]とはいえ、統計的認識としての「当たり前」なことがあって、それを無視して「マイノリティーじゃない!一人一人がばらばらなんだ!」って言ってもマジョリティに安住している人はわかんないと思うけど。
まず、統計的認識というものについて。


「統計的な認識には あらわれてこないもの」が、たくさんあると おもっている。たくさんのひとたちと、きちんと むきあうことでしか、発見できないもの、感じとれないものが いろいろ あると おもっている。わたしにとって「統計的認識」というものは、それほど重要なものだとは おもわれない。むしろそれは、ネツゾウされた「ふつう」認識を再生産するというか、そういった「統計的なもの」こそが、「正常な人間」という概念をうみだしたのだと おもっている。


また、わたしは「マイノリティーじゃない!一人一人がばらばらなんだ!」などとは いわない。まず、「マイノリティ」を「数が すくない」といった量的な側面だけで とらえるつもりはない。わたしの感覚では、女性はマイノリティである。非正規労働者の割合が いくら ふえたところで、非正規労働者はマイノリティである。


要するに、問題は量的なものではなく、両者の関係が どのように規定されているのかということだ。どちらが支配的で、特権をたのしんでいるのか。どちらが抑圧されていて、くるしめられているのか。

わたしは あんまりカタカナを連発しないようにと注意しているので、マイノリティよりも少数派を連発してしまう。だが、「少数派」というのは、じゃっかん その点で つかいにくい表現だ。

また、「一人一人がばらばらなんだ!」とも いうつもりはない。むしろ、「あなたと おなじようなひとが、どこかに います、いるはずです」と いいたい。たしかに、「人間の数だけ可能性はある」。わたしは、そう おもっている。けれども、なにも共通点をもたない「ばらばら」なひと(たち)は、それほど いない。わたしは、そのようにも感じている。

「ひとの数だけ可能性がある。」の後半では、いただいたコメントから連想して、「ひとの数だけ「ふつう」がある」と かいた。それも たしかに重要な認識だろうと おもう。

だが、よくも わるくも、「「ふつう」な人間なるものを設定」するアプローチであると おもう。


「マジョリティに安住している人はわかんないと思う」とコメントいただいたが、それなら「マジョリティに安住している人がわかる」のは、どのようなアプローチなのだろう。わたしは わからない。

ただ、重要なのは「マジョリティに安住しないこと」だと おもう。それが できないひと、したくないひとには、わたしが なにをいっても、共感してもらえないだろう。わたしも、かたるべき ことばを まだ みつけていないのだから。相手のほうも、うけいれる準備が できていないのだから。

「ふつう」に あぐらをかかない - hituziのブログ 無料体験コースに かいたように、「だれもが ある点においては少数派に属するところがある」のだから、「自分のマイノリティっぷりに意識をはらい、社会の抑圧性に気づくことができれば、それは、社会のありかたをふりかえり、批判的意識を発展させるのに つながるのではないかと おもう」。

だから まず必要なのは、「「ふつう」の外に足をふみいれている自分のすがたをみつけること」だろう。そして、そうすることで「既存のワクをこわし、社会をかきみだ」していくことではないだろうか。


マイノリティは、ただマイノリティなのではない。マジョリティ(多数派)との関係において、マイノリティであるのだ。