マンガ『看護助手のナナちゃん』。
最近、あれこれ マンガを よんでいます。このブログでは感情労働やケアについての本やマンガを とりあげてきたので、『看護助手のナナちゃん』小学館を ご紹介。
このマンガは 2ページか1ページで ひとつの おはなしが おわります。いろんな「患者さん」が登場します。同僚さんたちも でてきます。舞台は病院ですが、患者さんは老人が ほとんどです。なので「介護の風景」のようなところがあります。
主人公のナナちゃんは、ものすごく やさしい ひとです。心配してしまうほどです。そこは おこるべき!と感じることもあります。「さわるな、くそじじい!」という場面が みたいと感じてしまいます。けれども、ナナちゃんは患者さんには おこらない。同僚に たいして注意することがあるくらい。
ナナちゃんは すてきです。みていて、ほんのりします。だけど、やさしすぎる…。それが やっぱり気になります。だって、やさしいだけじゃないのが人間じゃないですか。
でも、その一方で、だれもが ナナちゃんに 身に おぼえがあるはず。だから、いろんなことを おもいだして、ないてしまうのだと おもいます。
そう。たしかに、こんなことを ねがっていた。こう ありたいと おもっていた。そう。こういう つらいことも あった。でも、毎日は つづいていく…。
ナナちゃんのように なりなさい、ということになれば、しんどいだろうと おもいます。けど、ナナちゃんのようで ありたいと感じる。そういうものだと おもうのです。
ナナちゃんは「看護助手」です。これもポイントですね。つまり、医療行為ができない。しては いけない。それがルール。だから、患者さんの ねがいに こたえることができずに、つらくなることもある(2巻の21ページ)。
『バーンアウトのエスノグラフィー―教師・精神科看護師の疲弊』ミネルヴァ書房という本がある。この本で 落合美貴子(おちあい・みきこ)は、精神科病院を 調査し、看護業務の役割分担について、つぎのように説明している。
多くのスタッフが不満や葛藤を語ったのは、看護師・看護助手関係及び正看・准看関係である。看護スタッフは、大きく医療の専門職資格者である看護師と無資格の助手に分類され、また資格者の中でも正看護師と准看護師に分けられる。B精神病院では、この3層構造の関係間の軋轢をストレスとして語るスタッフが多かった。
(196ページ)
さらに、医師と看護師の関係でいえば、「看護師は診療に関しては医師の支持の下に看護実践を行うという法的な縛りがある」(194ページ)。
このような役職の ちがう関係で、さらに経験年数の ちがいが ある。そして、かんがえかたが ちがう。
ただ たんに しあわせな空間ではないと おもう。病院というところは。
でも、作者の野村知紗(のむら・ちさ)さんは、よかったこと、たのしかったことを えがこうとしている。1巻には「あとがき」がある。そこに、野村さんの おもいが のべられている。
あの3年間は、私の中でもすごく濃い大切な時間でした。ずっと胸の奥にありました。
(126ページ)
野村さんは、「あなたに あえて よかった」ということを、マンガにしているのだと おもいます。
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