2015年に、『ことばのバリアフリー 情報保障とコミュニケーションの障害学』という本を かきました。
その内容と相通じる活動が、新型コロナウイルスの治療に とりくむ中国の医療現場でも みられるようです。リンク集として、まとめておきます。
まず、ツイッターで みかけたもの。
湖北省当地の患者と他地域から来た医療支援者とのコミュニケーションギャップを解消するための湖北方言理解ツールが開発されているとのこと(日本方言研究会メール情報第333号による)
— Akio Nasu (@Nasu_Akio) 2020年2月19日
中国商務印書館HPhttps://t.co/jXrmckLVLL
→「快讯︱“战疫语言服务团”助力湖北抗击疫情 - 商务印书馆」
病房手语、方言手册、护患沟通本——细数山东支援湖北医疗队的暖心妙招! pic.twitter.com/KogfHIuA8Q
— New China 中文 (@XinhuaChinese) 2020年2月16日
破解方言障碍,山东医疗队“备考”湖北话。
— New China 中文 (@XinhuaChinese) 2020年2月10日
连日来,全国多地再次相继派出医疗队驰援武汉。为方便与当地患者交流,山东大学齐鲁医院医生在达到武汉后,仅用48个小时,编写出一份《国家援鄂医疗队武汉方言实用手册》和相对应的音频材料。 pic.twitter.com/EHgE1Qif0d
雷神山来了两位聋哑患者!怎么办? pic.twitter.com/tvAt8x05TE
— New China 中文 (@XinhuaChinese) 2020年2月25日
つぎにウェブの記事。
- 「无声的战“疫”:武汉城内的聋哑人 - 综合 - 新京报网」
- 意思の疎通が困難な江西の看護師と武漢の患者、手作りのコミュニケーションボードで解決 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
- 動画:思いやり伝わる 看護師が手作りした指示カード 中国・武漢市 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
つぎに冊子とウェブサイト。
- 『国家援鄂医疗队武汉方言实用手册』(2020年2月9日第二版)
- 「抗击疫情湖北方言通」
ここで確認できるのは、ふたつの種類の ことばのバリアフリーです。
ひとつは、地域語。武漢(ウーハン)など、湖北(フーベイ)省に 外部から医療人(医師、看護師)が やってきます。現地の地域語(いわゆる方言)が ききとれない場合があるわけです。それは日本の歴史のなかでもあったことです(『ことばのバリアフリー』148、165-166ページ、2019年度後期の担当授業「多言語社会研究」の第5回「災害がうつしだす言語問題」の配布プリント参照)。とくに高齢者の場合、それほど北京官話(普通话)を はなしなれていないことがある。ましてや、呼吸が くるしい状態にある患者さんたちの ことばを ききとることは、それほど かんたんではないでしょう。さらに医療人は、かなり ぶあつい防護服を きています。
そこで、湖北省 各地の ことばを 紹介するウェブサイトとか冊子が つくられたんですね。また、現地の医療人がコミュニケーションボードを つくったという例が 紹介されています。
もうひとつは、手話。ろう者の患者さんとのコミュニケーションを するために、ジェスチャーを かんがえたり、手話を 学習したりしている様子が 報じられています。
わたしが おもうのは、通訳も必要だろうということです。もちろん、通訳者が現場に はいることはできません。感染のリスクがあります。なので、現地の医療人が通訳するとか、手話のできる医療人が通訳するという方法もあるでしょう。そして遠隔通訳を することも、可能だろうと おもっています。遠隔通訳の利点は、感染症の予防になることです。
ともかく、このような実践や報道は、今後も でてくると おもいます。今後もチェックして、このページに追加していきます。