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自分の肉声で思考する

小林和之(こばやし・かずゆき)さんの『「おろかもの」の正義論』(ちくま新書)を、どうしても全部よまないと いけない気がして、やっとこさ通読した。

法哲学というものが なんなのか、わたしは よくしらない。もしかすると、ロールズ、ドゥオーキン、センなどなどの なまえが とびかう議論のことをいうのだろうか。「リベラリズム」というのが自分の しらないところで あれこれ議論されていたようで、まったくもって自分は無知だったのだなと感じさせられたものでございました。だけど、よく わからなかったのが、「で?」ということ。マルクス主義にお熱だった人たちが、あらたな おもちゃを手にして あそんでる…などと いってしまうと、失礼にも ほどがあるんでしょう。すみません。けれども、ついこのあいだも人権思想についての原稿をよんで議論をしたばかりで、あれこれ おもしろいものを感じたと同時に、「なにが なんだか」という わからなさも のこっていた。

小林さんのサイトをみると、「日本における法哲学が「二流の輸入学問」にすぎない現状を改善するシステムを設計・提案する」論文も かいているようだ。なるほど。ロールズがどうしたという議論ばっかりしていることに不満をもっている人もいたってわけだ。ちょっぴり安心。

『「おろかもの」の正義論』にはロールズなんて なまえが でてこないかわりに、印象的なフレーズがたくさんある。あれこれ紹介したい。けれども、つぎの文章だけを紹介しておこう。
読んで面白い。考える力が身につく。それが大事だと思うからこそ、本書では哲学者や研究者の名前をいちいち挙げることはしなかった。先人の無批判なコピーをしていないからでもある。もちろん、先人の業績の恩恵を受けていないなどと言うつもりはない。それでも、わたしは、自分の血肉となって「正しい」と思うことけだけを書いた。(252-253ページ)
ヒーローなんか いなくとも、ものごとをかんがえることは できる。地にあしのついた議論をしている小林さんに、敬意をはらいたい。そして、敬意なんかよりも、自分なりの こたえをだそう。そのうえで、かたりあっていけば いい。…といういことで いいんですよね?

基盤になっている問題意識と かたられている内容、そのどちらもが しっかりした人に ひさしぶりに であった気がする。

グーグル:「法哲学」