おとこの みさお。業田良家(ごうだ・よしいえ)作。
名作『自虐の詩』をこえたかも しらん。うれない演歌歌手の五木みさお(いつき・みさお)が「男の操」という曲で人生をかたるみたいな。妻と死別し、むすめと ふたりぐらし、妻の のこしたビデオテープで元気をだす。ふんいきは、いつもながらの ふざけたゴーダマンガなんだが、これまた後半で なかせる展開にもってくる。それが『自虐の詩』よりも過剰なかんじで、しかも「男の操」などと、あまり ひとに共感をえられそうにない主題で勝負している。このみは わかれるかも。
まー、わざなんでしょうね。わたしゃ「みさお」だなんて、「ぺっぺっ」てかんじですけれども、どっぷり のめりこめたのだもの。
過去に すがるのは、それが楽だからで、また、もうじゅうぶんだからだ。だから、べつに過去に すがりつづけるのも、わるいことじゃあないだろう。けれど、目の前に あらたな とびらが ひらかれているのだとしたら、とびこまないのは あほらしいことよ。
過去なんて、現在のありよう ひとつで、どこまでも うすぎたないものに ぬりかえることだってできるし、その逆も可能なのよ。なにもかも かたちがなくて、すべてが おぼろげで、たよりなく かんたんに くずれさってしまうものだから、ひとは いきていけるのでないかしら。すべてが。