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あべ・やすし。最近は ツイッターばー かきょーる。

『介護現場は、なぜ辛いのか』

 本岡類(もとおか・るい)『介護現場は、なぜ辛いのか―特養老人ホームの終わらない日常』新潮社。


 いっきに よんだ。著者が じっさいに経験したこと、みききしたことを もとに再構成した小説。とくに 意外な はなしは なく、老人ホームなどについて しっている ひとは予想どおりの内容だろうと おもう。じっさいに おこった事故や事件などが いくつか紹介されている。


 三好春樹(みよし・はるき)の『ブリコラージュとしての介護』を よんだとき、あまりにも あたりまえな目標を かかげているのを みて おどろいた。老人介護の現状というのは、こういうことになっているのかと。それから いろんな本を よんでみたが、『介護現場は、なぜ辛いのか』を よんで なんとなく理解できたような気がした。


 わたしは知的障害者の施設で 3年 しごとをして、やめた。いろいろと制限があったが、それでも、その制約のなかで すきかってに しごとが できていた。時間の あいまを みつけて、ぶらっと散歩に でたりすることが。
 『介護現場は、なぜ辛いのか』では、主人公は「臨機応変で気軽な「外出」」が できなかった(224ページ)。


 「普通の世界では、人は自由に外に出られる」(234ページ)。


 どうして それが できないのか。それは「当たり前のことを、当たり前にやっていないからだ」(251ページ)。こたえは単純なものだ。


 あたりまえのことが できない。無理を しているから。無理やりだから。



 「ほんと、なんなんだろう?」と ひとりで つぶやくのと、その つぶやきに そばに いるひとが「なんなんだろうね?」と かえしてくれるのとでは、ずいぶん ちがう。
 孤独だから、「なんなんだろう?」と つぶやいてしまう。ひとりじゃなければ、無力じゃなければ、かえる ちからが あるならば、たのしい。やりがいが ある。むくわれる。希望がある。もっと よくしていける。


 かえたいよね。



 『ユートピア老人病棟』という小説がある。主人公が 老人病棟に いれられる はなしで、さいごが たのしく もりあがる。


 もりあがりたいね。


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